2024年新NISAの誕生により、iDeCoは本当に不要になるのか?
金融庁より2024年NISA制度改正が発表され、個人投資家界隈では神制度へのアップグレードと大騒ぎ。それに伴い影を落としているのがiDeCo(イデコ)の存在。
iDeCoとは簡単にいうと、自ら掛け金を拠出・運用することによって、老後の年金資産を形成するというもの。その代わり、制約はあるものの国が税制面で贔屓しますよというもの。
ただし、新NISAの非課税期間恒久化をきっかけに魅力が薄れてきているのが現状です。
果たしてiDeCoは本当に不要なのか、その辺をシミュレーションしてみようと思います。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
iDeCoとは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。
毎月掛金の拠出をして、iDeCoの商品ラインナップから好きな商品に好きな割合額を振り分け、運用する年金です。
原則60歳までは引き出せないが、それまで運用益の税金は非課税です。
ただし、運用が終わり、実際に受け取っていく際には、受け取り方(一括、年金払い、併給)や金額によっては所得税と住民税がかかります。
私はせっかく運用で増やしたお金を1円たりとも税金は払いたくない!
(納税は国民の義務なので払うべき税金は払いますが、工夫によってそれが減らせるならそうした方がよい!という考え方です)
なるべく節税できる運用を探っていこうと思います。
NISAとiDeCoの通常運用の差額
まずはNISAとの差について検証してみます。
2024年から始まる新NISAは、運用益は永年非課税となります。
投資開始年齢:30歳
退職時(運用終了時):60歳
毎月の掛け金:12,000円(年間144,000円)
平均年率:5%と仮定
◯iDeCoの場合
毎月のランニングコスト:171円(SBI証券の場合)
実質の毎月掛け金:12,000円-171円=11,829円
60歳時の運用額:990万円(投資元本572万円)
◯NISAの場合
毎月のランニングコスト:なし
60歳時の運用額:1004万円(投資元本572万円)
◯iDeCoとNISAの差額
NISAがiDeCoより、14万円有利!
そりゃそうですよね、iDeCoはどうしても最低でも171円のランニングコストがかかってしまう分、NISAに比べたら運用成績は劣ってしまいますよね。
じゃあiDeCoをせずにNISAした方がいいじゃん!
いえいえちょっと待ってください。
60歳時の運用額のみを比較するとそうかもしれませんが、iDeCoの最大のメリット忘れてませんか?
それでは次にiDeCoのNISAと比較した優位性を考えていきたいと思います。
iDeCoのNISAに対する優位性(メリット)
iDeCoの最大のメリットは・・・・
そうです、掛け金の全額所得控除です。
iDeCoで拠出した掛け金は「全額」課税所得額が控除されるのです。
つまり所得税率および住民税率分、お得になるということです。
例えば、所得税・住民税の税率が合計約18%とすると・・・
144,000円☓0.18=25,920円分が節税になっているということなんです。
それが30年間だとすると約78万円です。
ということは・・・
先程、計算した30年間の運用成績の差額は14万円NISAが有利でしたが、
所得控除のメリットを受けられるiDeCoは78万円有利との結果に。
つまり、差し引き、64万円iDeCoが有利になると結果に!
iDeCoは原則60歳まで自由に引き出しはできませんが、どうせ老後までのお金は貯めないといけないし、途中でお金が何か必要になった場合も、他の貯金や投資分でなんとかなりますよね。
投資で一番怖いのは、日々の株価の値動きに一喜一憂して狼狽売りすることが最もNG行為だと思っていますので、60歳まで引き出せないことは私は個人的には最強のメリットだと思っています。
iDeCoは受け取り時は要注意
ただし、一つだけ注意点が。
iDeCoは受け取りの際は、3つの方法から選べます。
①退職金として一括受け取り
②年金として分割受け取り
③一部を退職金として、残りを年金として分割受け取りする併給
①の退職金として受け取る際は、通常の控除より控除幅が大きい退職金控除が使えるのでそれはメリットでもありますが、会社からの退職金を加味して計算すると、結局多くの税金が取られる場合があります。
会社からの退職金の額に応じて、受け取りの際の税金が一番少なくなる方法をそれぞれ考える必要があります。
ちなみに私は、会社からの退職金のみで退職金控除額を使ってしまいそうなので、年金として10年ほどに分割して受け取るのが最も税金を少なくできる方法でした。(NISAと比較しても。)
それはまた次回に書かせてもらいます。